夜がな夜っぴて考え事…

趣味で自由に小説書いてます

散文51『独白』

 私は人知れず、ブログで『散文』というタイトルの短編小説を書き綴ってきた。始めたのは去年の三月からである。一時的な休憩は挟んだものの、この一年間ほぼ毎週、コンスタントに書き続けられたことは私にとって良い経験となった。私の周りで起きた出来事を中心に、ちょっとずつ着色しながら、我ながら毎週まぁまぁ面白く書けて来られたと思う。誰に読ませるわけでもなく、ただ単に若いころの夢を諦めきれない自分への慰めである。

 そう、私は小説家になりたかった。自分の世界を文字で描いてみたかった。しかしその夢の達成はなかなか難しく、一旦は諦めたつもりであったが、どだい諦め切れるものではなかった。

 それは職業として小説家になりたいということよりも、根本から「書きたい」と湧いてくる欲であった。

 その舞台として用意してみたのがブログであったが、思いのほか達成感があった。思うように書けずに才能の限界を感じたこともあれば、調子に乗ってスラスラと書けるときもあった。一年間、文字という形で世界を描いて来られたことはとても有意義なことであった、と私は満足している。

 

 というわけで、これで私の欲が尽きたわけでは全くないが、一年という月日を一区切りにして、『散文』という世界は幕を下ろそうと思っている。決してハトソン君の退社にショックを受けたから、というわけではない。あくまで私の判断である。そこは誤解のないように。

 僅かながらこの小説を読んでくれた方々には感謝申し上げたい。誰に読ませるわけではない、と言いつつ、誰かに読んでもらえることも大変嬉しいことである。それもまた今回、再認識出来たことだ。

 次回の『散文』を最終回とするつもりであるが、この先、続編を書くかどうかは未定である。しかし可能性はゼロではない。一年間一緒に歩んできたキャラクターたちにも愛着がある故、もしかしたら別な世界で出会うこともあるかも知れない。スピンオフ作品という可能性ある。ハトソン君目線での物語も面白いかも知れない… というように、私の欲は留まることを知らないらしい。

 

 それでは、まだ何について書くかは決まっていないが、最後の一話をお楽しみに。

 

 と言ってみたものの、誰も楽しみにしている人はいないかも知れないが、何より自分が楽しみにしている。それがこの小説を始めたキッカケでもあるから、この小説はすでに大成功なのである。