夜がな夜っぴて考え事…

趣味で自由に小説書いてます

濃藍空

 夜は、何もかもが深くなる。言葉でさえ、必死に掴もうと握る指先から、空に零れ落ちてゆく。

 私は思う。すり抜けていく言葉を見送りながら。輝く星に目を細めながら。

 そして私は、残された手のひらの言葉に希望を託す。

「これは私だ」

 形のない言葉を濃藍色の空に叫ぶ。

 その声が、深い空には届かないことを知っていても。