2021-01-19 濃藍空 7つの小品(完結) 夜は、何もかもが深くなる。言葉でさえ、必死に掴もうと握る指先から、空に零れ落ちてゆく。 私は思う。すり抜けていく言葉を見送りながら。輝く星に目を細めながら。 そして私は、残された手のひらの言葉に希望を託す。 「これは私だ」 形のない言葉を濃藍色の空に叫ぶ。 その声が、深い空には届かないことを知っていても。